あらすじ
町はずれにひっそりたたずむ理髪店、そこには理髪を天職だと思っている理髪師がいた。
「正直僕みたいな名理髪師はですね、単純な技術だけではないんです」
理髪店内は隅々まできれいにし、時折やってくるお客に真心こめて髭剃りをし理髪してあげる、非常にまじめな人だった。
彼には美しい妻がいた。町内の人々は外に出ることの多い妻をとやかく言う人もいるが、理髪師は昼食も食べられないほど忙しく働く妻にすまないと思っている。
そんな理髪師にも、悩みがあった。1か月前「お前の汚く醜悪な秘密を知っている」と理髪師のもとを訪れた男性は、髭剃りを口実に週に2、3回来ては金を払わず出ていく。
この客のせいで理髪師は借金するように。すると男性は、理髪師の妻にまで言及しはじめ…。