あらすじ
専門スタッフの手厚いサポートのもと、華麗なステージでスポットライトを浴び、美しく輝くスター歌手ユ・ジナ(オム・ジョンファ)。一方、ボロボロのメイク道具で自らを飾り、寂れたスナックに手作りした小さなステージで、酔っぱらった客から物を投げられながら歌う“ものまね歌手”チョン・ヘダン(ク・ヘソン)。全く違う人生を生きる二人が、出会った。
その日ユ・ジナは、政財界で有名な会長パク・ソンファン(チョン・グァンリョル)と落ち着かない夕食を共にしていた。パク氏はユ・ジナを気に入っており、宝石を差し出しながら彼女を誘惑するが、ユ・ジナの口からYESの答えは出ない。「何をそんなに深く考えることがある?」ユ・ジナはそんな彼の誘いを一刀のもとに断り、席をはずした。
ひとり街を歩くユ・ジナ。彼女には、世間には公表していない、視力を失った息子がいる。拭い切れない不安と、先ほどのような芸能界のしがらみ。苦い気持ちに支配され、飲まずにはいられない気分だった。偶然目に入ったみすぼらしい飲み屋に、ユ・ジナは足を踏み入れた。
ひとり焼酎を煽っていると、酔っぱらい客の話が耳に入ってきた。スター歌手ユ・ジナへの悪口だ。反論も思いつかず、話を静かに聞いていると、側のテーブルから思わぬ怒りの声が飛んできた。「ユ・ジナは、あなたたちのオモチャじゃないわ!」声の主は、“ものまね歌手”チョン・ヘダンだった。
酔っぱらい客とチョン・ヘダンのケンカの仲裁に入ったユ・ジナ。呆れながらも、自分のために戦ってくれたチョン・ヘダンを見て、心が温かくなるのを感じた。「あの、毎日ご迷惑おかけしています…」チョン・ヘダンの訳のわからない言葉を聞いて理由が気になったユ・ジナは、彼女のことをもっと知りたいと思うように…。
チョン・ヘダンの家に招待されたユ・ジナは、そこで彼女の生い立ちを知る。歌手の夢を諦めきれず、母の助けでレコードを出したがさっぱり売れず、借金だけが残ってしまったこと。その後母を亡くし、弟を大学に送るために、ファンだったユ・ジナの“ものまね歌手”をして稼ぐようになったこと。また、チョン・ヘダンの家族と話をするうちに、ユ・ジナには失われていた笑顔が戻っていた。
チョン・ヘダンの活動の背景を知ったユ・ジナは、彼女を積極的にサポートすることを決める。自身の衣装をプレゼントし、振付を教えたりもした。だが、互いに打ち解け、仲を深めていくと思われた二人の関係は、すぐにすれ違ってしまう…。
ユ・ジナがプレゼントした衣装の中にペンダントが入っていたことを知ったチョン・ヘダンの家族が、ペンダントの中に入っていた人物の写真を撮り、ネット上に流出させてしまったのだ。これはすぐに記事となって広まり、世間の知るところとなった。
チョン・ヘダンはすぐさまユ・ジナの家を訪ねて謝ろうとするが、ユ・ジナの表情は怒りに満ちていた。「これで、失うもののない人たちと関わってはいけないということがはっきりしたわ。危機感というものが皆無だものね」
「私がここまで来るのにどれほど耐え忍んでいたか、分かる?」涙声で訴えるように告げたユ・ジナは、ついに事のきっかけとなったチョン・ヘダンへの怒りを爆発させ、大声で叫んだ。「私のまねをしようが私の成功に乗じようが、お好きにどうぞ。その代わり今後一切、私の目の前に現れないで!」
本来交わることのない二人が繰り広げる愛憎劇。今後の行方は…?