Q:ソン・ガンホさん、授賞式で「パラサイト」と呼ばれたとき、いかがでしたか?
ソン・ガンホ「監督のすぐ隣に座っていたので、映像に僕も一緒に映ります(笑)。カンヌ国際映画祭の時、嬉しさのあまり過激に喜んでいたら監督の肋骨に細いひびが入ってしまったそうで、今回は肋骨を避けて顔を中心に、頬を叩いたり、首の後ろを掴んだり、すごく喜びを抑えながら喜びました(笑)。(授賞式の)映像を見ると、僕が抑え気味な姿が見られると思います(笑)」
Q:監督、観客から熱烈な支持を受ける理由は何だと思いますか?
監督「挑発的な映画を作ろうとするわけではないですが、ストーリーの本質から目を逸らしたくありません。現代社会の貧富の格差が赤裸々に表されるほろ苦い面を正面突破しようと思いました。観客は気まずく、見たくないと思われるかもしれないけど、それに対する恐れで甘く作りたくはなかったです。なるべく僕たちが生きている時代を、率直に描くのがこの映画が選択できる唯一の道だと思いました。
幸い1000万人以上の観客が共感してくださり、オスカーの後光と関係なく、フランスや日本、イギリス、ベトナム、北米の観客からも共感をしていただきうれしかったです。受賞より、同時代の観客に共感していただけたことがさらに嬉しいです。どうしてあんなに共感していただけたのかは時間をおいて分析しなければならないと思いますが、それは僕の仕事ではないと思います。記者さんや評論家、観客の皆さんが考えてくださると思います。僕のやるべきことは次の作品のシナリオを一行一行書いていくことだと思います」
Q:監督、政界から「ポン・ジュノの銅像を作り、生家を保存しよう」という話がありましたが、どう思われますか?
監督「記事は見ましたが、銅像や生家…こんな話は僕が死んでからしてほしいです(笑)。このすべてのことは、いずれ過ぎて行くだろうと思って笑い飛ばしました(笑)」
Q:監督、ソン・ガンホさん、韓国ではイ・ジョンウンさんが注目され、アメリカではチョ・ヨジョンさんが注目されたようですが、アメリカと韓国の反応の違いはありますか?
監督「アメリカでイ・ジョンウンさんも注目されました。SAGアワード(全米映画俳優組合賞)の授賞式場に入るまでが長く複雑なのですが、そこでトム・ハンクス夫婦が、ソン・ガンホさん、イ・ソンギュンさん、特にイ・ジョンウンさんに会って、すごくうれしがっていました。映画に関するいろいろな質問をされていました。また、LA市内を歩いていたら、クエンティン・タランティーノ監督に会いました。そしたら『ちょうど一昨日『パラサイト』を見た』と言われ、20分ぐらい立ち話をしたのですが、10分くらいがチョ・ヨジョンさんの話でした。ヨジョンさんの演技とキャラクターが印象的だったそうです。
アンサンブル賞で立証されたように、誰一人欠けることなく、アメリカ役者さんから熱烈な支持がありました。作品賞を受賞する上で、一等功臣は素晴らしい演技をしてくれた役者さんたちと、それを支持してくれた全米映画俳優業会のみなさんではないかと思います」
ソン・ガンホ「この話(アンサンブル賞)をしようとしたのに!(笑)
監督とは20年の付き合いですが、僕たち役者が受賞したとき、もっとも喜んでいました。この人があんなに喜ぶ姿は初めてでしたし、不思議でした」
Q:最後に一言お願いします。
チョ・ヨジョン「自分の元いた位置に戻り、次の作品を慎重に選び、もっといい姿をお見せするためにこれまでよりもっと悩み、うまく演じるのが、この映画のスタッフと、応援してくださった観客の方への報いではないかと思います」
イ・ソンギュン「一昨年に監督と出会い、2年が経ちました。素敵で美しいパッケージツアーが、今日で終わるような気がします。昨年は韓国映画100周年でしたが、今年アカデミー賞をいただき改めてスタートする良い時期かなと思いますし、一緒にできて光栄でした。一時的な関心ではなく、韓国映画の元肥になってほしいです」
監督「昨年5月のカンヌ国際映画祭からアカデミー賞まで、めでたいことがありました。映画史的に事件として覚えられると思いますが、それより映画自体で覚えていただけたらと思います」
ソン・ガンホ「アカデミー授賞式で、監督賞を受賞した監督がマーティン・スコセッシ監督の『個人的なことが最も創意的なことだ』という言葉を引用したのが印象的でした。僕は役者なので、創意的なことが大衆的なことになるように努力したいと思います。昨年、この場で制作報告会をしてカンヌへ行ってたので、今日のこれが終わったらまたカンヌに行かなければならないような気がしています(笑)」
パク・ソダム「この映画にかかわったすべての方々が胸に長く、深く秘められると思います。これからも頑張って生きたいと思います」
イ・ジョンウン「ある授賞式で受賞したとき、『これくらいの顔、これくらいの体型になるまで時間が必要だった』と言ったように、監督もこれくらいの顔、これくらいの体型になるまでお疲れ様でした(笑)。1つの映画が出来上がるまで多くの人の頑張りがあるので、その方々に代わってご挨拶できてうれしいです」
チャン・ヘジン「私という見慣れない役者を快く起用してくださった監督と、抵抗なく見てくださった観客の方々に感謝します。夢のような時間が流れ、この気持ちをどのように整理すればいいかわかりません。細く長くが夢でしたが、自分の名前が知られてしまい悩んでいます(笑)。今日は綺麗に着飾ってきましたが、本当の私はこうではありません。普通のおばさんに戻るか、また演技ができるかどうかわかりません(笑)。プレゼントは一度でいいので、ありがたくいただき、明日からまた普通に生きていきます」
パク・ミョンフン「韓国映画100周年を迎える年にカンヌ国際映画祭でパルムドール賞をいただき、改めて100周年をスタートするときにアカデミー賞をいただけて光栄です。本業に戻り、良い作品でまたお目にかかりたいと思います」